HomeDADI-Trial臨床試験について

グリベックの服薬を休止できるか
臨床試験(臨床研究)の情報とご理解のために(DADI-Trial)

■ 目的
  ダサチニブ治療によりComplete Molecular Response (CMR)が得られ、かつ1年間効果が持続された慢性期慢性骨傍注白血病患者(CP-CML)に対し治療を中断し、その後の分子遺伝学的無再発生存率(MoRFS)について検討する。
 1.プライマリーエンドポイント:
  ダサチニブ治療中断6ヶ月時点のMoRFS
 2.セカンダリーエンドポイント:
  @ダサチニブ治療中断12ヶ月時点のMoRFS
  A以下項目とMoRFSとの関連について解析を行う
  ・ダサチニブ治療によるLGL増加の有無
  ・CMRに至るまでのダサチニブの投与期間及び投与量
  ・正式登録に至るまで(CMR維持期間中)直近12ヶ月問のダサチニブの総投与量
  ・ダサチニブ治療前の治療方法及び効果
  ・インターフェロン治療歴の有無
  ・性別
  ・CML診断時のSokalscore
  B分子遺伝学的再発後のダサチニブ再投与による効果
■ 対象
 ダサチニブ治療によりCMRが得られ、かつその効果が12ヶ月持続されたCP-CML患者
■ 治療
 以下の期間についてダサチニブを本邦における承認用法用量内とし投与を行う。
 減量及び休薬・中止の規定は主治医の判断とする。
 @CMR持続期間中の12ヶ月間
 A正式登録後分子遺伝学的再発を確認後
■ 予定登録数と研究期間
 予定登録症例数:正式登録として20例
 事前登録期間:2011年4月1日より2012年3月31日まで
 追跡期間:CMR確定後48ヶ月(投与中断開始後36ヶ月)
 総研究期間:60ヶ月

補足説明 佐賀大学医学部 血液・呼吸器・腫瘍内科 木村晋也先生より

   Bcr-Abl融合蛋白質を標的とする治療薬イマチニブの登場によりCMLの治療成績は向
  上したが、CML幹細胞への効果は期待できないため生涯にわたり治療を継続する必要
  があるとされている。その結果イマチニブによる治療に関わる医療費の患者負担の高騰が
        問題視されている。本邦では2009年3月に第2世代チロシンキナーゼ阻害薬が承認され、
  イマチニブ抵抗例や不耐容例についての課題は解消されつつあるが治療期間の長期化及び
  それに関わる医療費についての課題は未だ解決されていない。
   この課題についてはイマチニブの中断を試みる臨床試験としてフランスのDelphineらの
  グループがStop Imatinib Study(STIM)として2009年ASHで登録症例全例の12ヶ月時点の
  MoRFSは41%と推測され、またIFN治療歴を有しない症例の12ヶ月時点でのMORFSは
  34%と推測されると報告している。

   STIMでの報告でもあるようにイマチニブ治療においても分子遺伝学的再発を認めな
  い患者も確認されていることから、分子遺伝学的再発を認めない患者のpopulationの
  検討が進められている。イマチニブより、より効果が高い薬剤を使用することで中断
  できる可能性が高くなることを示唆する報告もあり、効果の高い薬剤として第2世代
  チロシンキナーゼ阻害薬への関心が高まっている。

   第2世代チロシンキナーゼ阻害薬の一つであるダサチニブは初発CP-CML患者を対象
  としたイマチニブ400mgとダサチニブ100mgとの無作為化比較試験(DASISION試験)
  の報告ではprimary endpointである12ヶ月時点における確定した細胞遺伝的完全寛解率
       (confirmed CCyR)はイマチニブ群で66%、ダサチニブ群でフフ%(p=0.0067)であり
  ダサチニブ群で高いことが示された。 Secondary end point の一つである分子遺伝
  学的major寛解率(MMR)はイマチニブ群で34%、ダサチニブ群で52%(pく0.00003)
  とダサチニブ群で高く、またMMR達成までの期間の中央値はイマチニブ群で9.2ヶ月、
  ダサチニブ群で6.3ヶ月であった。イマチニブと比して効果が高いとされる理由として
  いくつかの報告があるが、その一つの理由にCML幹細胞により近い前駆細胞への効果
  、またフィンランドのPorkkaらの報告でダサチニブ投与により治療中に大穎粒リンパ球
  (LGL)増加を示す症例があり、LGL増加を認めた症例は増加を認めない症例と比べ
  治療効果が非常に高くダサチニブ投与により免疫学的効果が得られる可能性を示唆している。
  また、STIMにおけるSubSet解析でNK細胞の比率が高い患者群で比率が低い患者群と比べ
  分子遺伝学的無再発生存率が有意差を持って高かったと報告している。
  
   以上のことにより前駆細胞レベルヘの効果と免疫賦活作用を併せ持つダサチニブ治療は
  治癒の可能性がイマチニブ治療より高いと考え、ダサチニブ治療によってCMRが得られた
  CP-CML患者に対し治療を中断する研究を行うこととした。

研究代表者:佐賀大学医学部 血液・呼吸器・腫瘍内科 木村晋也先生
もしスプリセル服用中の患者さんで、DADI試験について、御質問のある方がおられれば、いずみの会にご連絡ください。木村先生に直接お答えしていただくようにいたします。

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