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血液がんフォーラム(松本)レポート

フォーラムの概要を簡単にレポートします。内容は受講した内容のメモです。よって参考情報としてお読みください。

座長 信州大学医学部血液内科診療教授 石田文宏先生

医療には不確実性が伴うが確実に進歩している。長野地区では毎年300400人が毎年血液疾患に罹患している。移植は6070/年。血液内科医は30人程(内科医20人、小児科10人)。

T 血液がんの基本理解

1)血液 …… 国立病院機構まつもと医療センター松本病院副院長 北野喜良先生

血液について、改めて基本学習をしましょう。また、それぞれの疾患は、造血のどの部分でがん化するのか、あるいはG-CSF(コロニー刺激因子)を使って「幹細胞を動員する」とは、等々、病気と治療を理解するための基礎講座です。

まず血液がんで多いのは1.悪性リンパ腫 2.多発性骨髄腫 3.急性白血病です。
血液について 即ち 赤血球、白血球、血小板についての役割の説明がありました。
「造血幹細胞から分化増殖する!!」
 
白血球について
好中球500以下で要注意です。感染の危険があります。
抗癌剤を始めて10日目くらいに白血球は最も下がり、G-CSF投与で軽快する場合がある。
 
血小板と止血の機序、血小板の一生について
一次止血と二次止血の説明がありました。2万以下だと出血しやすくなります。
手術は5万以上あれば受けられる。


次にそれぞれの病気の説明がありました。
悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、白血病について

2)血液がん …… 長野赤十字病院血液内科 市川直明先生

血液の「がん」とはどのような状態か。また、血液がんにはいくつもの疾患があります
自分の疾患と他との違いを把握することは、治療理解への早道となります。

血液がん治療の基本理解

1)薬物療法 …… 信州大学医学部血液内科 伊藤俊朗先生

化学療法−抗がん剤治療とは、脱毛をはじめとする主な副作用には何があるでしょうか。
分子標的療法−どのような仕組みで効くのか、基本を理解します。

細胞の話から始まり細胞核内のDNAの話に続き、染色体が傷ついたり転座を起こして血液がんを発症することを説明された。血液がんは遺伝子変化で発症するが、何が原因で血液疾患が起きるとか因果関係は不明であり生活習慣とは関係ないとのこと。
ただ年齢が上がってくると増えてくる傾向がある。

グリベック(メチル酸イマチニブ)はCMLの原因タンパク、すなわちBcr-Ablタンパクにくっついて治療
する!!t(9,22)転座によって生まれるBcr-Ablタンパク!!
専門用語ばかりで頭が痛くなりますが、これがCMLの基本のようです。
グリベック解禁から8年。7年間生存率86%で画期的!
しかし、問題も・・・
副作用、効果消失、再発、妊娠、経済的な問題などのためグリベックの中止は約37%にも。
第二世代イマチニブとしてタシグナ(ニロチニブ),スプリセル(ダザチニブ)も既に使われている。

2)造血細胞移植 …… 長野赤十字病院血液内科 小林 光先生

同種移植(きょうだい等親族から、骨髄バンクやさい帯血バンクからの非血縁移植)と、フル移植、ミニ移植などの違いを把握し、「移植適応」のタイミングの捉え方を学びます。

急性骨髄性白血病の骨髄移植経緯について話された。
移植前に地固め療法(化学療法)を行い、造血幹細胞が残るレベルで抗がん剤を止め、再発した
場合移植となるが移植時の見極めは難しい。
HLA一致度はこれまで6座一致が主流であったが現在は8座一致に変わってきた(条件が広がった)。
移植後の合併症(GVHDGVL)、寛解期のレベル(第一、第二、第三)、生存率について説明
された。
移植を薦めるか悩む時があると医療者の心の内も話され、移植前に患者と医師がよく話し合い悔いの
残らない選択をしてほしいとのことだった。
終わりに血液内科医が減少し移植医療を行う医師が疲弊して移植をできなくなる危機を話された。

暮らしとGVHD
  …… 信州大学医学部附属病院 看護部/クリニカル移植コーディネーター 深沢聡恵さん

移植で発生した治療後遺症と退院後にどう付き合っていくのか。在宅での投薬と副作用対策、「清潔」について。 看護師さんの支援の受け方、相談の仕方、上手な闘病生活の送り方について、
また、クリニカル移植コーディネーターとは 近年の血液医療の中で果たしている役割は?

患者さんに退院後の生活について指導している!!

感染、GVHD(移植片対宿主病)についての説明と予防
日常生活の中でも危険がいっぱいです!
口腔症状(口内炎など)
皮膚症状(紫外線対策はSPF20 PA++がよい)
感染予防(手洗い、うがい、歯磨きを!!)

疾患別分科会(慢性骨髄性白血病)

講 師:北野 喜良先生
最初に北野先生からCMLの病気の概要をお話し頂き、その後参加者からの質問についての討議や治療についての想いなど話し合いが出来ました。

CML
はとにかく急性化させない事が大切です。
分子標的薬について。現在は次の三種です。イマチニブ(グリベック)、ニロチニブ(タシグナ)、ダザチニブ(スプリセル)  ( )内は製品名です。

セカンドラインのタシグナ、スプリセルはグリベックに比べて効果は高いとされています。現状グリベックによる副作用が強い場合や、効果が見られない場合に服用できる形となっています。初発のCML患者に対しても治験では効果が見られています。日本において初発からセカンドラインの薬が服用できるのは今後1年〜1年半かかると思われます。

「いずみの会」としては早く承認されるよう厚労省へ要望書を提出するなどの活動をおこなっていきます。

                           記 大森、小林、田村

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